読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

銀行が企業の将来性を見て融資をすることは困難だ、と言えるたった一つの理由

11/21に金融庁が「金融行政方針」を発表し、銀行に企業の将来性をみて貸し出しを増やすよう促す考えを明確にした、という記事が話題になっていました。

 

www.nikkei.com

 

果たして、銀行は企業の将来性を見て融資判断をする、ということは可能なんでしょうか? 

 

僕が知り合いのベンチャー企業経営者や起業支援コンサルと話す際によく振られる話題に、

 

「銀行は担保が無いとお金を貸してくれない。ベンチャー企業には担保に出すようなものが無いのに、担保を要求してくるなんて馬鹿げてる!」

 

というものがあります。

 

この話になるたびに僕はウーンと唸ってしまいます。銀行がベンチャー企業に融資をするのが難しいのは、銀行のビジネスモデルの根幹に理由があるからです。

 

 f:id:yame-banker:20161130154518j:plain

 

銀行の審査の仕組み

銀行の融資の審査において、事業計画や経営者の資質もその対象になりますが、一番重要なのは決算書です。

 

銀行は取引先の決算書のデータを過去からずっと集めており、延べ何百万件、何千万件もの決算書を蓄積しています。今で言うビッグデータです。

 

銀行は、この蓄積されたビッグデータを統計処理し、どういう財務状況の企業がデフォルト(債務不履行…借りたお金を返せなくなること)に陥るのかを分析し、財務状況ごとのデフォルト確率を数値化しています。

 

銀行は、審査を行う企業の決算書とビッグデータを突き合わせ、算出されたデフォルト確率に応じたランクを企業に設定していきます(いわゆる「格付け」)。

 

銀行のビジネスモデルの根幹は過去に積みあげた決算書のビッグデータ

ビッグデータを統計処理し、格付けを行うまでの一連の流れが銀行の最大のノウハウです。銀行の審査の大部分は、審査する企業の決算書とビッグデータとの突き合わせ(=格付け)に終始します。

 

銀行は格付けをもとに企業の返済可能性を判断し、返済可能性が低いと判断した場合は担保による補完を行うわけです。逆に言えば、担保が無くても、返済可能性が十分に見込めると判断した場合は融資を行います

 

(本当は格付けの後に、銀行担当者は企業のキャッシュフローによる返済能力や資金繰りでの返済可能性、事業の将来性etc.を細かく検討していくプロセスがあるのですが、これは銀行のノウハウというより担当者個人の能力に依るところが大きいかと)

 

冒頭愚痴を言っていたベンチャー企業は担保が無いからではなく、ビッグデータ比較するための過去実績(=決算書)が無いので返済可能性を判断できなかったので融資を受けられなかったんですね。

 

銀行は企業の将来性を見て融資を行う、ということはできるのか?

ベンチャー企業が銀行から融資を受けられない、ということについては、実績の無いベンチャー企業が悪いとか、ベンチャー企業の将来性を見れない銀行が悪いとか、そういう話ではありません。

 

そもそも、将来性を見て融資判断するという考え自体が銀行のビジネスモデルから外れているのです。

 

将来性を見て云々、というお仕事はVC(ベンチャーキャピタル)に任せるのがよさそうですね。餅は餅屋。